美少女ゲームシナリオサンプル1-➀
- まき田お茶子
- 2019年7月20日
- 読了時間: 3分
さて、授業も終わったし帰るか。
【誠一】「ん……待てよ。今日は水曜だから……」
【小百合】「誠一くん、お疲れさま。今日は一緒に帰れるかな……」
【誠一】「おおっ、委員長。今日は図書委員休みだったな。オレも一緒に帰りたいと思ってたところだ」
図書委員の活動予定を頭の中で確認していたオレのもとに、ちょうどいいタイミングで。
【小百合】「本当!? ……嬉しい」
はにかんだような微笑みに、一日の疲れも吹っ飛んだ。
【小百合】「うん……? 誠一くん……どうかした?」
【誠一】「いやいや。やっぱり委員長の笑顔は最高の癒しだなぁと思っただけだぜ」
加えて今は、小首を傾げる仕草も可愛いと思っている。
【小百合】「ふぇ……? わ、私なんて……」
率直すぎるオレの言葉に、委員長は顔を真っ赤に染めて俯く。
どこまでも可愛い。
自分の顔がやに下がっていくのを感じる。
とはいえ、教室でこれ以上だらしない顔を晒すわけにもいかないので、オレは口を開いた。
【誠一】「ほら、眼鏡がずれてる」
【小百合】「あ……ありがとう」
形の整った目鼻の上に乗った分厚い眼鏡を、そっと直す。
座っているオレの手が届くように、少し前屈みになったことで、セーラー服の胸元から深い谷間がのぞいた。
視線を持って行かれかけて、今はだめだと引きはがす。
【誠一】「じゃあ、帰ろう」
【小百合】「うん!」
二人で通学路を歩く。
【小百合】「ふふ……。二人で帰るの、すごく久しぶりな感じがする。週に何回かは、こういう日があるのにな……」
【誠一】「ああ。オレもそう思う」
それだけ待ち遠しいということだ。
委員長がオレと同じ気持ちでいてくれることが嬉しかった。
【誠一】「やっぱ、委員会活動がある日も、オレ、学院で委員長のこと待ってようか」
ただでさえ帰りが遅くなる日に、オレの彼女を一人で帰らせるなんて、心配でもある。
【小百合】「でも、そんなの誠一くんは退屈だろうし、悪いよ……」
【誠一】「いや、オレは別に平気だぞ。というか、よかったら、オレが委員長の仕事を手伝うぞ」
図書委員の集まりが終わった後、委員長が一人で残って図書室の整理をしていることがある。
オレは付き合い始める前から知っていた。
【小百合】「本当に、いいの……?」
【誠一】「もちろん」
【小百合】「……ありがとう。じゃあ、えっと……お願いしても、いいかな……?」
おずおずと視線を合わせながら、委員長が言う。
【誠一】「おう! じゃあ次から、一緒にやろうな」
【小百合】「うん! よろしくお願いします」
飛び切りの笑顔で言われて、俄然やる気が出てきた。
【誠一】「よし、任せろ!」
話しているうちに、もう分かれ道に来てしまった。
毎日教室で顔を合わせるのに、ここでお別れを言うのはいつも名残惜しい。
【誠一】「じゃあ、また明日、学園でな!」
それでも最後は委員長の笑顔が見たくて、元気よく片手を上げて言ってみた。
【小百合】「あ、あの……!」
背を向けようとしたところで、委員長に呼び止められる。
【誠一】「どうかした?」
【小百合】「あのね……。もし、時間があったらなんだけど、その……今日これから、うちに来ない……?」
【誠一】「え……」
【小百合】「もう少しだけ、一緒にいられたらなって……。どうかな……」
【誠一】「オレもそう思ってたけど……いいの?」
【小百合】「うん……。誠一くんがよければ」
思いがけない誘いに、胸が高鳴る。
落ち着け、オレ。
【誠一】「でも、突然お邪魔していいのか? 家の人とかいるよな?」
【小百合】「ううん。今日は、私一人なの……」
それって……。
【小百合】「……」
委員長は、何も言わず息を詰めてオレの返事を待っている。
誰もいない家で、二人きりに……。
ゴクリ、と喉が鳴った。
【誠一】「じゃあ、お邪魔しようかな」
緊張しながら答えると、委員長は微笑んだ。
【小百合】「……ありがとう」

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